愛犬の歯磨き、いつから?どのように? 基本の磨き方や嫌がらない工夫を紹介! 2025/01/07 更新
犬も歯周病になることをご存じでしたか?むしろ我々人間よりも割合が多く、3歳以上の犬の約80%は歯周病もしくは予備軍といわれています。
歯周病を放置すると歯が抜け落ちたり、菌が全身にまわると腎臓や肝臓などに異常をきたしたりしますので、口腔内を清潔に保つことはとても大切です。
とはいえ、いつからどのように始めるのか?嫌がる時はどう対処すればいいのか?など、不安に思う人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は、愛犬の「歯磨き」の基本情報をご紹介。磨く順番や磨き方、注意する点、嫌がった時の対処法、あると便利なアイテムについて解説します。
「歯周病」が犬に多いのはなぜ?予防するには?
歯周病の原因は歯に溜まった歯垢や歯石。細菌が繁殖してできる歯垢は、唾液の中のカルシウムなどと結合することで石灰化して歯石に変化します。歯石があるとさらにその表面に歯垢がつき石灰化、ついた歯垢が新たな歯石をよぶという悪環境に陥りやすくなるのです。犬の口内はアルカリ性のため、口腔内が酸性の人間よりも歯周病の原因菌が繁殖しやすい環境です。適切なデンタルケアで歯石にならないうちに歯垢を取り除くことが歯周病の予防には不可欠です。
たくさんついてしまった歯石は歯磨きで取り除くことができません。その場合は「スケーリング」という除去処置を行いますが、飼い主が自分でやるのは難しく、動物病院での治療をおすすめします。
可愛いワンちゃんのためにも基本的な歯磨きの方法を知ろう
犬は、約3~5日で歯垢が歯石に変わります。人間は約25日といわれますからかなり早いですね。2~3日に1回はデンタルケアを行い歯石にならないようにすることが必要です。 歯周病は年齢とともに増えていきますが、子犬であっても歯垢・歯石のできやすい口内環境であることは変わりません。できるだけ早い時期から、歯磨きの習慣をつけておくようにしましょう。
ワンちゃんは自分で歯を磨いたり口をゆすいだりすることはできません。そこで、飼い主によるケアが重要になってくるのですが、一生懸命になるあまりついつい力を入れすぎてしまうことがあります。乳歯から永久歯への生え替わりの時期や、歯茎に傷や腫れがある場合などは、ちょっとした刺激でも痛みを感じますので注意が必要です。
いきなり手や歯ブラシを口に入れるのもNGです。びっくりして口を触られることを嫌いになってしまいます。歯磨きを始める前に口や歯を触られることに慣れさせましょう。
リラックスできるように、遊びの感覚で向き合いながら、口のまわりをなでたりタッチしたりし、少しずつ時間を延ばしていきます。優しくつかんでも嫌がらないようなら、唇をめくって指の腹で歯や歯茎に触れてみましょう。
同時に歯ブラシも匂いをかがせたり、じゃれつかせたりして、危険なものではないことを覚えさせましょう。慣れてきたら歯ブラシで口のまわりを触ったり、歯や歯茎をタッチしたりします。
歯ブラシや歯磨きシートでの失敗しない磨き方
磨く順番は、犬歯、前歯、奥歯、それから歯の内側へ。犬歯は一番大きくて丈夫な歯なので磨きやすく、ワンちゃんにとっても負担がかかりにくいのです。前歯が終わったらあごを押さえながら上唇をめくって奥歯を磨いていきます。一番奥の歯は歯垢や歯石のつきやすい場所ですので、特に注意して磨きましょう。
最後は歯の内側です。磨きづらい場所ですが、犬歯と奥歯の間から指をさしこむと磨きやすくなります。
歯ブラシは必ず犬用のものを使ってください。幼児用の歯ブラシで代用できるのではと考える人もいるかもしれませんが、ヘッドの大きさやブラシの硬さが合わず、歯磨き自体を嫌いになってしまう可能性があります。
いきなり歯ブラシをあてることに不安がある場合は、指に巻いて使う歯磨きシートから始めるとよいでしょう。指で直接歯を触りながら汚れを落とせるため、怖がらずに歯を磨くことができます。シートは誤飲することのないようにしっかり指に巻きつけ、親指で押さえながら使うようにしてください。
歯ブラシや歯磨きシートでの失敗しない磨き方
初めて歯磨きをする、何度か試したけれどうまくいかなかった、という人向けに、歯磨きに慣れさせるステップをご紹介しましょう。
ステップ① デンタルおやつを使う
歯磨きガムなどは手軽に始めるのにぴったりのアイテムです。噛むことで歯の間に入り込み口の中の汚れを落とす効果も期待できます。しかし、ガムを噛んだだけでは口の中全体の汚れを落とすことはできないので、歯磨きへ移行するステップと考えてください。
また、食べ方によってはのどを詰まらせることもありますので、与えたままにせず、見守りながら与えるようにしましょう。
ステップ② デンタルおもちゃを使う
遊びながらケアできるデンタルおもちゃは、歯磨きが苦手なワンちゃんでも使いやすいです。しかし、あくまでも補助的なアイテムですので、慣れてきたら歯磨きと合わせてデンタルケアができるようにしていきましょう。
ステップ③ 歯ブラシや歯磨きシートで磨く
おやつ・おもちゃに慣れてきたら、いよいよ本格的に歯磨きです。磨き方は上を参考に。力を入れすぎないように注意してください。ゴシゴシ磨くと「歯磨きは痛い・怖い」と思ってしまいます。
少しの時間でも歯磨きが終わったらほめることも忘れずに。ご褒美おやつをあげるのもひとつの手です。歯磨きをするとほめてもらえる、おやつがもらえるといったプラスのイメージをもつことで、歯磨きへの抵抗を減らすことができます。
Caluluのおすすめデンタルケアアイテム
Caluluホームページからウェルシュ・コーギーにおすすめのウェアやおもちゃを紹介します。
ガッチリ噛めてワンちゃん夢中!
細かな木製チップを安全な樹脂で固めた、骨の形のスティックです。2本セット、サイズ違いもあります。
丈夫で歯に優しいコットン製。遊びながら歯茎をマッサージ!
耐久性のあるコットンロープは、引っ張ったり、噛んだりして遊ぶのに最適。歯茎をマッサージして歯をきれいにするので、犬の歯の健康にも役立ちます。
飼い主も一緒に遊べるやわらかな質感! 運動しながら歯もケア
ジャンプや走りを促すやわらかな質感のボール。噛んでも歯と歯茎に優しい質感。溝は歯をきれいにしたり、歯茎をマッサージしたりするのに役立ちます。
永久歯は抜けてしまうと二度と生えてきません。犬の多くは歯磨きが苦手ですから、あせらず、毎日練習するつもりで根気よく続けてください。
ていねいにデンタルケアをしていても、歯石がついてしまうこともあります。その場合は動物病院で治療するようにしてくださいね。
しおせ犬猫病院 塩瀬 将之 院長
2000年に日本獣医畜産大学(現:日本獣医生命科学大学)を卒業後20年以上に渡り獣医として活躍中。
2009年5月に神奈川県横浜市に『しおせ犬猫病院』を開院後は、自身も動物を飼っていることから、動物たちを愛する飼い主として、飼い主さんの立場に立ち動物に寄り添った診療をされています。