花粉の時期は要注意！犬にも出る花粉症（花粉アレルギー）の症状と、覚えておきたい対策 2025/03/05 更新
そろそろ花粉が飛び始め、花粉症の方には辛い季節になってきました。「そういえば、犬にも花粉症ってあるのかな？」と疑問に思われる方もいらっしゃいますね。
結論を言うと「犬にも花粉症はあります！」。でも、犬の花粉症は、私たちのようにくしゃみや鼻水が止まらなくなるという症状とは少し違うんです。そのため花粉症の対策も人のものを応用するのではなく、犬に合わせて考えてあげないといけません。
この記事では、犬の花粉症（花粉アレルギー）の症状や、対策、犬のくしゃみはどんな時に出るのか、花粉対策におすすめのグッズを紹介します。
犬の花粉アレルギーについて
花粉症は、特定の植物の花粉に反応してアレルギー症状がおこる病気です。犬も人と同じで花粉症があるのですが、犬の場合は花粉症とは呼ばず、花粉アレルギーという言い方をします。
犬の花粉アレルギーにも季節性があり、症状がひどくなる時期があります。抗原となる花粉が飛んでいる時期を過ぎれば自然と症状は収まっていきます。
犬と人の症状の違いについて
一般に、犬のアレルギーは食物アレルギーでもハウスダストやダニなどのアレルギーでも、皮膚症状が出ます。人の花粉症でよくみられるくしゃみ、鼻水といった呼吸器系の症状は犬の花粉アレルギーでは少ないです。
また、犬のアレルギーは下痢や嘔吐といった消化管症状が出ることも多いのですが、花粉アレルギーの場合は花粉を食べているわけではないので、消化管症状は出ません。
犬の花粉アレルギーでみられる症状
犬の花粉アレルギーの症状を具体的に解説します。
皮膚症状
犬の花粉アレルギーでは、顔や脇、お腹や手足の指の間などに症状が現れやすいです。初期には下のような症状が出ます。
かゆみ
皮膚の発赤
フケ
被毛のべたつき
症状が悪化したり、最初からアレルギー反応が強い犬では、脱毛したり、皮膚が固くなってゴワゴワする苔癬化（たいせんか）というひどい皮膚の炎症が起こったりします。
目の症状
皮膚症状と比べると発症する割合は少ないですが、目のかゆみや充血など、目に症状が出る犬もいます。目の周りだけ脱毛してしまう犬もいます。犬が目の違和感やかゆみを気にして引っ掻いてしまうと角膜に傷がつく事もありますので、気をつけましょう。
花粉アレルギーを起こしやすい時期
犬の花粉アレルギーも、スギやヒノキ、ブタクサなどの、人でもアレルギーを起こしやすい植物に反応することが多いです。スギやヒノキの花粉飛散時期は、3月～5月頃、ブタクサは8月～10月頃と言われています。花粉アレルギーがある犬はこの時期に症状が現れます。
花粉アレルギーを起こしやすい犬種や年齢
花粉アレルギーはどの品種でも起こる可能性はありますが、柴犬などの日本犬に多いと言われています。また、年齢は、比較的若い4歳頃に発症することが多いです。
犬がくしゃみをするのはなぜ？
犬が花粉アレルギーでくしゃみをすることはあまりないですが、ではどのような時にくしゃみが出るかというと、鼻腔内への異物や、病気などが原因です。
異物が鼻に入った
例えば、お散歩中に地面の匂いを嗅いでいたら、ホコリや砂、草の種を吸い込んでしまった、水を飲んでいたら水が跳ねて鼻に入った、などの時に反射的にくしゃみをします。この場合は、何回かくしゃみをして鼻から異物が取れればくしゃみは止まります。
感染症
ケンネルコフなどの呼吸器症状がでる感染症にかかった時にもくしゃみが出ます。感染症が原因のくしゃみは、飛沫で周りの犬に感染が広がっていくので気をつけたいケースです。
鼻炎・鼻腔内腫瘍など鼻の病気
鼻炎で鼻の粘膜に炎症が起こったり、鼻腔内に腫瘍ができて塊が大きくなって粘膜を刺激するようになるとくしゃみが出ます。犬の鼻腔内腫瘍は発生する確率は低いですが、できた場合は悪性のことが多いです。
花粉アレルギーの診断と治療
毎年同じ時期に皮膚の状態が悪くなったり、涙が出たり、充血がみられるという時には、動物病院を受診し、花粉アレルギーの検査を受けましょう。
花粉アレルギーの検査は、動物病院で採血をして外部の検査機関に依頼して血液検査を行います。結果が出るまでには1週間程度かかります。費用は約1万円～1万５千円です。
花粉アレルギーの治療のポイント
花粉アレルギーの治療で重要なのは以下の2つのポイントです。
薬を適切に使う
日頃のスキンケア
それぞれ解説します。
薬を適切に使う
花粉アレルギーで主に使用するのは、ステロイドの飲み薬や塗り薬です。ステロイドは、強い抗炎症作用を持ち、肌のダメージを修復します。副作用が怖いからとステロイドを使うことを嫌がる方もいらっしゃいますが、正しい容量で使っていれば徐々に量は減らせますし、問題はありません。
アレルギーを抑えるための抗ヒスタミン薬は、犬のアレルギー治療では補助的に使うことが多いです。人では一般的に知られるようになってきた舌下免疫療法は、犬では今の所適用されていません。
日頃のスキンケア
花粉アレルギーに限らず、食物アレルギーやその他のアレルギーを起こす犬は普段から肌のバリア機能が弱く、カサカサした肌質のことが多いです。普段は毎日ブラッシングして肌に適度な刺激を与えるとともに、肌が蒸れないようにし肌表面の衛生状態を保ちましょう。
シャンプーは、低刺激のものを選び、体を流す時はぬるま湯を使用して必要以上に皮脂を落とさないようにしましょう。
花粉の時期の過ごし方
花粉アレルギーを発症させない、また症状を悪化させないためには、抗原となる花粉に触れないことが大事です。花粉が飛ぶ季節の過ごし方のポイントを解説します。
・散歩の時間を花粉の飛翔が少ない時間帯に変更する
・散歩の時は服を着せ、皮膚に花粉を付着させないようにする
・帰宅したらブラッシングをして体についた花粉を落とす
・皮膚症状がひどい時は週1、2回を目安にシャンプーをする
・室内では空気清浄機と床の掃除で花粉の量を減らす
散歩の時間を花粉の飛翔が少ない時間帯に変更する
スギやヒノキの花は朝に花が咲いて、花粉を撒き散らします。そのため、市街地の方に花粉が飛んでくる時間帯は、正午頃と人の動きが激しくなる夕暮れ時の1日2回ピークがあります。散歩は朝の早い時間帯と夕方遅くにずらし、ピーク時を避けましょう。
散歩の時は服を着せ、皮膚に花粉を付着させないようにする
犬は皮膚についた花粉に反応して症状が出るので、服を着せ皮膚をガードしましょう。服の素材は、スポーツウェアのような表面が滑らかでツルツルとしたものだと花粉がつきにくく、手で払って花粉を落としやすいのでおすすめです。
散歩後はブラッシングをして体についた花粉を落とす
被毛に付いてしまった花粉は、ブラッシングで落としてから室内に入り、家の中に花粉を持ち込まない工夫をしましょう。飼い主の皆さんも、服や髪についた花粉を落としてから部屋に入りましょう。
皮膚症状がひどい時は週1、2回を目安にシャンプーをする
皮膚の衛生状態を良くするため、シャンプーをしてあげましょう。自宅でのシャンプーが難しければ、トリミングサロンや動物病院でもシャンプーを依頼できます。
室内では空気清浄機と床の掃除で花粉の量を減らす
最近の空気清浄機は、花粉やハウスダストなどをフィルターでキャッチしてくれます。ただし、花粉は重いのですぐに床に落ちます。空気中を漂っている花粉は空気清浄機でキャッチし、床に落ちた花粉は掃除機で吸い取り、室内を清潔に保ちましょう。
花粉の時期のお出かけにおすすめのアイテム
花粉アレルギーが辛くても、運動や気分転換に犬をお外に連れ出してあげたいですね。花粉の飛ぶ時期の外出におすすめのグッズをCaluluのホームページから紹介します。
カジュアル感とデザインのかわいらしさで女性に人気のブランド、ROPE PICNISから、犬用のマウンテンパーカーのご紹介です。アウトドアやお散歩のときにさっと羽織らせやすく、やさしい色合いです。生地には撥水加工が施されており、ちょっとした雨ならしのぐことができます。
パッと目を引くおしゃれなバイカラーのレインコートです。本来はレインコートですが、裏側はメッシュ素材になっているため蒸れることもありません。表面の素材がツルツルしているので付いてしまった花粉も落としやすく、花粉の時期の対策にもおすすめです。
まとめ
この記事では、犬の花粉アレルギーについて人と犬で見られる症状の違いや、くしゃみの原因、花粉アレルギーの診断と対策、おうちでできる花粉対策を解説しました。
・犬の花粉アレルギーは人と違って、皮膚に症状が出ることが多い。
・犬のくしゃみは、鼻に物が入って反射的に出たり、感染症などの病気が原因で出たりする。
・毎年決まった時期に皮膚や目の症状が出る場合は、動物病院で相談してみる。
花粉が飛びやすい春や秋は気候もよく、ずっとおうちの中にいるのはもったいない気もしますね。散歩の時間帯をずらしたり、服を着せて花粉に直接触れる量を減らしたりと工夫して犬と一緒に外に出かけてみてはいかがでしょうか。
しおせ犬猫病院 塩瀬 将之 院長
2000年に日本獣医畜産大学（現：日本獣医生命科学大学）を卒業後20年以上に渡り獣医として活躍中。
2009年5月に神奈川県横浜市に『しおせ犬猫病院』を開院後は、自身も動物を飼っていることから、動物たちを愛する飼い主として、飼い主さんの立場に立ち動物に寄り添った診療をされています。
